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女性エンジニアが少ない5つの理由と近年増加傾向にある理由

IT業界では、女性エンジニアの数が少ないことが長年の課題とされてきました。しかし近年、その状況は少しずつ変化しています。

なぜ女性エンジニアは少ないのか、そして増加している理由は何か。

この記事では、女性エンジニアを取り巻く現状を分析し、転職を成功させるためのポイントや、エンジニアに向いている女性の特徴について解説します。

この記事を読んでわかること
  • 女性エンジニアが少ない5つの理由と近年増加している6つの背景
  • 女性がエンジニア転職を成功させるための7つの具体的ポイント
  • エンジニア職に向いている女性の特性と、IT業界での活躍が期待される理由

1.女性エンジニアは少ない?現状と変化するIT業界

IT業界は急速な発展と変化を続ける分野であり、近年ではダイバーシティ(多様性)の重要性が高まっています。特に注目されているのが、女性エンジニアの活躍です。

従来、男性が大多数を占めていたエンジニア職ですが、女性の参入が徐々に増加しつつあります。ここでは、IT業界における女性エンジニアの現状と、業界がどのように変化しているのかを具体的なデータとともに紹介します。

IT業界における女性エンジニアの割合と推移

IT業界における女性エンジニアの割合と推移

IT業界における女性エンジニアの割合は、着実に増加傾向にあります。一般社団法人 情報サービス産業協会の調査によると、2023年時点でIT企業に勤務するエンジニアの女性比率は22.6%となっています。

これは2016年の時点では13.1%だったことから、わずか7年の間に約10ポイント近く増加したことになります。

単純計算すると5人に1人が女性エンジニアということになり、まだまだ少数派ではあるものの、確実に増加していることがわかります。

しかし、国際比較の観点から見ると、日本の女性エンジニア比率は依然として先進国の中でも低い水準にあります。欧米諸国では30%を超える国も少なくありません。

このギャップは、日本特有の社会的・文化的背景が影響していると考えられています。

参考:一般社団法人 情報サービス産業協会|情報サービス産業 基本統計調査(2016~2023)

女性エンジニア急増の理由~時代の変化~

女性エンジニアが増た最も大きな要因として挙げられるのが、働き方改革デジタル化の加速です。

特に2020年以降のパンデミックを契機に、多くの企業がデジタルシフトを余儀なくされ、テレワークやフレックスタイム制度が急速に普及しました。

こうした柔軟な働き方が可能になったことで、育児や家事と両立しやすい環境が整い、女性にとってエンジニア職の魅力が高まっています。

また、女性自身のキャリア意識も変化しています。長期的な安定性と成長性を求める女性が増え、IT業界のような未来志向の分野に関心を持つ傾向が強まっています。

さらに、女性向けプログラミングスクールや支援イベントも増加しており、女性がIT業界へ参入するためのサポート体制も充実してきました。

求人数からわかる女性エンジニア採用の活発化

コロナ禍でのオンライン化加速により、エンジニア職の需要が急増しています。

女の転職type』によると、エンジニア求人数はコロナ前の約2倍に増加し、従来の事務職求人も増えていますが、エンジニア職の伸びがそれを上回っています。

特に注目すべきは、「女性歓迎」「女性活躍中」といった文言を含む求人が増加している点です。企業側のダイバーシティ推進の観点から、積極的に女性エンジニアを採用しようとする動きが強まっています。

IT業界未経験者でも挑戦しやすいIT事務やITサポートなど、IT寄りの事務職の求人も増えており、女性向けIT人材市場が活発化しています。

経済産業省の推計によると、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると予想されており、この人材ギャップを埋めるためにも、女性エンジニアの採用はますます活発化していくと考えられます。

参考:経済産業省|IT分野について女の転職type|女性エンジニアの求人数はコロナ前の約2倍に! 2023年の狙い目業界・職種を『女の転職type』編集長が解説

2.女性エンジニアが少ない5つの理由

2.女性エンジニアが少ない5つの理由

前章で見たように、女性エンジニアの数は徐々に増加しているものの、依然として男性が大多数を占めています。なぜ女性エンジニアは少ないのでしょうか?

その背景には、社会的・文化的・構造的な様々な要因が複雑に絡み合っています。ここでは、女性がエンジニアという職業を選びにくい5つの主な理由について掘り下げていきます。

理系分野における男女比の歴史的偏り

理系分野における男女比の歴史的偏り

エンジニアという職種は、一般的に理系出身の人が就くというイメージが定着しています。

日本の教育システムにおいて、理系・文系の選択は高校時代から始まりますが、この段階ですでに大きな男女差が生じています。

文部科学省の調査によると、高校で理系を選択する生徒のうち、女子の割合は約16%に留まっています。

この傾向は大学進学後もさらに顕著になり、理工農系を専攻する女子学生における女子学生の割合は全体の約5%程度です。

特に情報工学や電気電子工学といったIT関連の学科では、女子学生の割合がさらに低くなる傾向があり、こうした教育過程における男女比の偏りが、結果としてエンジニア職の男女比にも大きく影響しています。

しかし、注目すべき点として、Indeed Japan株式会社の調査によると、IT技術関連職従事者の最終学歴は理系出身者が40.3%、文系出身者が38.7%とほぼ同等であり、女性に関しては理系出身者が31.1%に対し文系出身者が45.1%と文系出身者の方が多いことがわかりました。

つまり、理系出身でなくてもエンジニアになることは十分可能なのです。しかし、この事実が広く認知されていないことも、女性がエンジニアを志す際の心理的障壁となっていると考えられます。

参考:文部科学省|Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)(15ページ)・Indeed Japan株式会社|「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査を実施

社会に根強い「女性には向いていない」という思い込み

エンジニアは論理的思考力が必要な職種ですが、「女性は物事を論理的に考えるのが苦手」というステレオタイプが社会に根強く存在しています。

かつては「男女は生まれつき脳の造りが違うため、それぞれ得意不得意なことも異なる」という説が広まったこともありました。

しかし、現代の脳科学研究では、論理的思考能力に明確な性差はないことが示されています。男女の脳の違いよりも、個人差の方がはるかに大きいという結果が出ています。

つまり、「女性は論理的思考が苦手」というのは科学的根拠のない思い込みに過ぎないのです。

また、周囲の大人や教育者も無意識のうちにこうした思い込みを幼いころに伝えてしまい、女性が幼少期から理系科目やプログラミングに興味を持つ機会を奪ってしまっている可能性があります。

エンジニアは知的労働のため、性別によって向き不向きがある仕事ではありません。しかし、こうした誤った社会的イメージが、女性のエンジニア志向を阻害する一因となっているのです。

長時間労働ときつい労働環境のイメージ

IT業界は「残業が多い」「ブラック企業が多い」というイメージが定着しており、このネガティブなイメージが女性の参入を妨げる要因のひとつとなっています。

確かにエンジニアの仕事は、納期に追われたり、予期せぬトラブルが発生したりすることで残業が発生することがあります。

IT業界(情報通信業)は他業種と比較して労働時間が長い傾向にあることが最新データで明らかになっています。

2024年10月の厚生労働省「毎月勤労統計調査」によれば、情報通信業の月間平均所定外労働時間は16.9時間に達しています。

この数字は「運輸業、郵便業」の21.8時間に次ぐもので、「電気・ガス業」と同じく全業種中2位の長さです。このデータから見ると、IT関連企業では依然として長時間労働の傾向が続いていると言えるでしょう。

こうした労働環境は、家庭と仕事の両立を重視する傾向が強い女性にとって、参入障壁となりやすいのです。

特に、育児との両立を考えると、急なトラブル対応や深夜までの残業が発生する可能性がある職場環境は避けたいと考える方も多いでしょう。

ただし、すべてのIT企業がそうした環境というわけではありません。プロジェクト管理の効率化自動化ツールの活用により、以前と比べて労働環境は改善される傾向にあります。

参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査

ロールモデルの不足

女性がエンジニアを目指す際の大きな障壁の一つが、「ロールモデルの不足」です。キャリア選択において、自分と同じ属性(性別、バックグラウンドなど)を持つ成功者の存在は非常に重要な要素となります。

しかし、女性エンジニアの絶対数が少ないため、身近にロールモデルとなる女性エンジニアを見つけることが難しいのが現状です。

心理学研究によると、ロールモデルの存在は「自分もできるかもしれない」という自己効力感(セルフ・エフィカシー)を高める効果があります。

女性エンジニアのロールモデルが少ないということは、女性たちが「自分にもエンジニアになれる」と想像しにくい環境であることを意味します。

自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは

セルフ・エフィカシー(自己効力感)とは、カナダの心理学者バンデューラが提唱した概念で、「自分は必要な行動をとって結果を出せる」という信念のことです。

「自分には能力がある」と確信している状態が高い自己効力感、逆に「自分には無理だ」と考える状態が低い自己効力感です。

採用・評価における無意識のバイアス

採用や評価のプロセスにおける「無意識のバイアス」も、女性エンジニアの数が少ない重要な要因の一つです。無意識バイアスとは、人が意識せずに持っている先入観や固定観念のことで、判断や意思決定に影響を与えます。

採用場面では、同じスキルや経験を持つ応募者でも、女性の場合は能力が低く評価されがちという研究結果があります。

また、職場での評価においても無意識バイアスは存在します。女性エンジニアは同等の成果を出していても、男性エンジニアよりも厳しい基準で評価されることがあります。

さらに、女性が自己主張をすると「攻撃的」と受け取られやすい一方、男性の同様の行動は「リーダーシップがある」と肯定的に評価されるという二重基準も存在します。

こうした無意識バイアスは、採用や昇進の機会を減少させるだけでなく、職場での居心地の悪さや疎外感につながり、結果として女性エンジニアの定着率の低下や離職率の上昇を引き起こしています。

無意識のバイアスとは?

無意識のバイアスとは、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンが提唱した概念で、人が気づかないうちに持っている偏見や固定観念のことです。

ジェンダー、人種、宗教など様々な対象に対して生じ、特に採用や昇進といった人事プロセスにおいて女性やマイノリティに不利に働くことが多いとされています。

3.少ない時代は終わる?女性エンジニアが増加している6つの理由

3.女性エンジニアが増加している6つの理由

前章では女性エンジニアが少ない理由について解説しましたが、冒頭で述べたように、近年では女性エンジニアの数が着実に増加しています。

ここからは、なぜ女性エンジニアが増えているのか、その背景にある6つの重要な要因について詳しく見ていきましょう。

IT人材不足と女性活躍推進政策の影響

日本は急速な少子高齢化に伴う労働人口の減少という大きな社会課題に直面しています。この状況下で、IT業界では特に深刻な人材不足が続いています。

経済産業省の試算によると、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足する見通しです。この膨大な人材不足を埋めるために、これまでIT業界に参入していなかった女性人材の活用が重要な戦略となっています。

政府も女性IT人材の育成に積極的に取り組んでいます。2022年には「女性デジタル人材育成プラン」が策定され、「就労に直結するデジタルスキルを身に付けた女性デジタル人材育成の加速化」が目標として掲げられました。

このプランでは、地方自治体や民間企業と連携し、女性向けのプログラミング講座デジタルスキル研修の提供キャリア支援などが実施されています。

労働人口減少とIT人材不足という社会的背景の政策的取り組みが、女性エンジニアの増加を後押ししているのです。

参考:経済産業省|IT分野について内閣府男女共同参画|女性デジタル人材育成プラン

働き方改革とリモートワークの普及

コロナ禍を契機に、リモートワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方が急速に普及したことも、女性エンジニアの増加に大きく貢献しています。

国土交通省の調査によると、コロナ禍前の2019年時点でのテレワーク実施率は全国で約14%でしたが、2021年には27%以上にまで増加しました。

特にIT業界は他業種と比較してリモートワークの導入率が高く、多くの企業が継続的にリモートワークやハイブリッドワークの体制を導入しています。

こうした働き方の変化は、育児や家事との両立を考える女性にとって非常に魅力的です。

時間や場所に縛られない働き方が可能になることで、子育て中の女性も継続的にキャリアを築くことができるようになりました。また、通勤時間の削減により、自己学習の時間を確保しやすくなったという側面もあります。

こうした環境変化が、女性がエンジニアというキャリアを選択する際の障壁を低減し、結果として女性エンジニアの増加につながっています。

参考:国土交通省|令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要) -

学習の機会が増えた

プログラミング教育の門戸が広がり、誰もが気軽にプログラミングを学べる環境が整ってきたことも、女性エンジニアの増加に寄与しています。

以前は専門学校や大学の情報学部・理工学部等に進まなければプログラミングを学ぶ機会は限られていましたが、現在ではオンラインプログラミングスクールや専用の学習サイトなど、様々な選択肢が存在しています。

特に注目すべきは、初心者に優しく、わかりやすい教材の充実です。視覚的に学べるブロックプログラミングや、ゲーム感覚で学習できるプラットフォームなど、プログラミングの敷居を大幅に下げる工夫がなされています。

これにより、従来の「難しそう」「理系じゃないと無理」というイメージが払拭されつつあります。

また、女性向けのプログラミングコミュニティやイベントも増加しています。

Women Who Code」や「PyLadies」などの国際的な女性エンジニアコミュニティの日本支部が活動を展開しており、初心者向けワークショップやメンタリングプログラムを提供しています。

こうした女性同士のつながりは、学習の継続や転職活動の際の大きな支えとなっています。

技術職なので復職しやすい

エンジニア職は、出産や育児でキャリアを一時中断しても復職しやすい特徴があります。

最大の強みは、人間関係よりもプログラミングスキルなど客観的に評価できる能力が重視される点です。一定期間のブランクがあっても、スキルを証明できれば評価されやすい環境があります。

また、IT業界では常に新技術が登場するため継続的な学習が必須であり、これが復帰者にとってもチャンスとなります。最新技術の習得で、ブランクを埋めることが可能です。

多くのIT企業では段階的な業務復帰、リモートワーク、時短勤務など柔軟な働き方をサポートする制度が充実しており、技術的なキャッチアップのための研修も提供されていることもあります。

この復職のしやすさが、長期的キャリアを考える女性にとってエンジニアの魅力を高めています。

高収入を目指せる

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によれば、IT業界の女性技術者の収入は業界平均を大きく上回っています。

システム設計者の女性は平均560.8万円、ソフトウェア開発者は457.7万円の年収を得ており、これらを総合すると女性エンジニア全体では約500万円の年収水準にあると推測できます。

この金額は、女性一般労働者の平均年収399.7万円と比較すると約25%高く、IT技術職が女性にとって経済的に有利な選択肢であることを示しています。

注目すべきは、必ずしも大企業勤務でなくとも高収入を実現できる点です。小規模企業やフリーランスとしても、技術力を武器に高い収入を得ている女性技術者は少なくありません。

IT業界が女性の経済的自立を支える重要な分野となっていることを裏付けになるでしょう。今後のキャリア発展によって収入向上の余地が大きいことがわかります。

参考:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査

未経験でも挑戦しやすくなっている

IT業界では人材不足を背景に未経験者採用が増加し、女性のエンジニア転職が加速しています。

かつては専門知識が必須でしたが、現在は「ポテンシャル採用」が浸透し、学習意欲や適性を重視する傾向にあります。

求人サイトには「未経験OK」「文系出身歓迎」の文言が多く見られ、エントリーレベルでは技術スキルより論理的思考力やコミュニケーション能力が評価されます。

企業側も研修制度やメンター制度を充実させ、プログラミングスクールとの連携も進んでいます。女性のキャリアチェンジにとって追い風となっています。

ポテンシャル採用とは?

ポテンシャル採用とは、応募者の即戦力となるスキルや経験ではなく、潜在的な能力や将来性を重視する採用方法です。

中長期的視点で将来活躍できる若手人材の獲得を目指します。現時点の実績よりも、成長可能性や適性に焦点を当てた選考アプローチです。

4.女性エンジニア|転職を成功させる7つのポイント

4.女性エンジニア|転職を成功させる7つのポイント

ここまで、女性エンジニアが少ない理由と増加している背景について見てきました。では、実際に女性がエンジニアとして転職を成功させるためには、どのようなポイントに注意すべきでしょうか。

ここでは、女性エンジニアの転職を成功に導く7つのポイントを詳しく解説します。

自己のスキルと強みを客観的に分析する

エンジニア転職の第一歩は自分のスキルや強みを客観的に分析することです。女性は自分の能力を過小評価しがちなため、この作業は特に重要です。

まずは技術スキルの棚卸しを行い、プログラミング言語やツールなどの習熟度を自己評価します。

次に、コミュニケーション能力や問題解決力などのソフトスキルも整理しましょう。女性はこうした能力に優れているケースが多く、大きな強みになります。

また、「安定性重視」「チャレンジ志向」など自分の職業価値観を明確にし、ミスマッチを防ぐことも重要です。

自己分析に迷ったら、キャリアカウンセラーや転職エージェントの力を借り、客観的なフィードバックを得ることも効果的です。

未経験OKでも研修制度をしっかり確認する

「未経験者歓迎」「研修制度あり」という言葉は魅力的ですが、その内容を確認することが極めて重要です。

特に注意すべきは、研修と称して家電量販店やコールセンターに派遣するブラックSES企業の存在です。

研修制度を評価する際は、期間と内容の具体性実務に即した内容か研修後のフォローアップ体制などをチェックしましょう。

可能であれば実際に研修を受けた先輩社員、特に女性エンジニアの経験談を聞くことも有効です。

面接では研修内容について具体的に質問することをためらわないでください。誠実な企業であれば詳細に説明してくれるはずです。曖昧な回答や質問をはぐらかす様子が見られる場合は警戒すべきでしょう。

ブラックSES企業とは?

ブラックSES企業とは、劣悪な労働条件で従業員に不利益を与えるIT企業のことです。「研修」と称して家電量販店やコールセンターに配属、違法な多重派遣、低賃金・高マージン、スキルアップ機会の欠如、長時間労働などが特徴です。

「研修あり」「手厚いサポート」といった言葉で未経験者を勧誘しながら、実際には技術が身につかない環境に置くケースが多いため、転職時には注意が必要です。

女性が活躍している企業の特徴を知る

女性エンジニアが活躍している企業には共通する特徴があります。

まず注目すべきは女性管理職の比率です。技術部門に女性管理職がいるかどうかは、女性のキャリアパスが確立されているかの重要な指標となります。

次に、ダイバーシティ&インクルージョンへの具体的な取り組みの有無です。

「えるぼし認定」(女性の活躍推進の取り組みが優良な企業として、厚生労働大臣の認定を受けた証)や「くるみん認定」(「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証)を取得している企業にも注目です。

また、女性エンジニアのネットワークやコミュニティの存在も重要です。

社内に女性同士の交流の場があると、ロールモデルやメンターを見つけやすく、孤立感を感じにくい環境となります。面接では「女性エンジニアの定着率は?」「キャリアパスは?」と質問し、企業の本気度を見極めましょう。

育児と両立できる環境かチェックする

将来的に結婚や出産を考えている女性にとって、育児と仕事の両立がしやすい環境かどうかは重要です。

まず確認すべきは産休・育休制度の充実度です。単に制度があるかだけでなく、実際の取得率や復職率も重要な指標となります。

次に、時短勤務やフレックスタイム、在宅勤務など柔軟な働き方を支援する制度の有無をチェックしましょう。

特にリモートワークは子どもの急な発熱などにも対応しやすく重要です。また、男性の育休取得率も見逃せません。男性も育休を取得する文化がある企業は、総じて育児への理解が深い傾向があります。

可能であれば子育てしながら働いている女性エンジニアの話を聞くことも効果的です。適切な環境選びと自身の工夫で、充実したエンジニアキャリアを継続できます。

ブラック企業の見分け方をマスターする

IT業界には素晴らしい企業が多い一方で、残念ながらブラック企業も存在します。特に未経験者を狙った悪質な手法を使う企業もあるため、見分け方を知っておくことは非常に重要です。

まず注意すべきは、求人票の表現です。「アットホームな雰囲気」「風通しの良い社風」など、曖昧で抽象的な表現が多く、具体的な福利厚生や働き方に関する記載が少ない求人は警戒が必要です。

本当にホワイトな企業であれば、「有給取得率100%」「平均残業時間〇時間」など、具体的な数字で語れるはずです。

また、給与体系にも注目しましょう。「月給25万円以上」などと記載があっても、基本給と各種手当の内訳が不明確な場合は要注意です。

特に「みなし残業」が高額に設定されている企業は、実質的な長時間労働を強いられる可能性があります。

面接時には、次のような質問を積極的に行うことで企業の実態を探ることができます。

  • 「平均的な退社時間は何時頃ですか?」
  • 「直近1年間の離職率はどのくらいですか?」
  • 「女性エンジニアの比率や活躍状況を教えてください」
  • 「研修後はどのような案件・業務に携わることが多いですか?」

曖昧な回答やはぐらかす様子が見られたら注意が必要です。口コミサイトの活用も効果的ですが、極端な評価には偏りがある可能性もあるため複数の情報源を比較検討しましょう。

「未経験者大歓迎」「研修後すぐに高収入」といった甘い言葉には惑わされないよう注意しましょう。

キャリアのために実務経験をしっかり積む

エンジニアとしての成長には計画的な実務経験の積み重ねが不可欠です。未経験からスタートする場合、最初の職場選びが重要で、様々なプロジェクトに携わることができる環境が理想的です。

3年程度のスパンでキャリアステップを考え、最初の1~2年は基本的な開発スキルを身につけ、その後上流工程や専門領域にシフトするというプランを立てましょう。

副業やプライベートプロジェクトも経験を積むためのよい手段です。

GitHub上のオープンソース貢献やハッカソンへの参加も実践的なスキルを磨く場として活用できます。資格取得も計画的に進めると良いでしょう。

ネットワーキングも重要で、勉強会やコミュニティ活動を通じた業界人との交流は、貴重な情報や将来のキャリアパスを考える参考になります。

ハッカソンとは?

ハッカソンとは、「hack(ハック)」と「marathon(マラソン)」を組み合わせた言葉で、プログラマー、デザイナー、UI設計者、プロジェクトマネージャーなど様々な専門家が集まり、短期間で集中的にソフトウェア開発を行うイベントです。

個人作業や班単位、あるいは参加者全体で一つの目標に取り組むなど形式は様々で、創造性を発揮しながら短時間で成果物を作り上げることを目指します。

女性エンジニアのコミュニティを活用する

女性エンジニアが少数派である現状では、同じ立場の仲間と繋がれるコミュニティの存在は非常に貴重です。

Women Who Code TokyoPyLadies TokyoLean In TokyoRails Girls Japanなど様々な女性エンジニア向けコミュニティがあります。

参加するメリットは多岐にわたり、転職市場の最新動向女性に優しい職場環境を持つ企業情報など、貴重な情報を入手できます。

また、先輩女性エンジニアとの出会いの場となり、キャリアの壁を乗り越えるヒントが得られることも少なくありません。さらに勉強会やワークショップなどスキルアップの機会としても活用できます。

参加はオフラインイベントだけでなく、SNSなどのオンラインコミュニティから始めるのも良いでしょう。転職活動中の孤独感を和らげる大きな励みにもなります。

5.少ないのはもったいない!実はエンジニア職は女性向き?

5.実はエンジニア職は女性向き?

エンジニアという職業は性別に関係なく、個人の適性や能力によって向き不向きが決まります。ただ、エンジニアに必要とされる特性の中には、女性に比較的多く見られる特徴もあります。

ここでは、エンジニアという職業に向いている女性の特徴について紹介します。

もちろん、これらの特徴はあくまで一般的な傾向であり、すべての女性に当てはまるわけではありません。自分自身がエンジニアに向いているかどうかを考える際の参考にしてください。

情報収集が得意

エンジニア職では情報収集能力が重要スキルです。技術進化が速いIT業界では、常に最新情報をキャッチアップし効率的に学習する必要があります。

女性は細部に注意を払い、多角的な視点から情報を収集する能力に長けていると言われています。これは認知科学研究でも示されており、複数の情報源から効率的に情報を集め、整理・統合する能力が高い傾向があります。

新しいプログラミング言語学習では、公式ドキュメントだけでなく様々なリソースを組み合わせて理解を深められます。

また、膨大な技術情報を効率的に管理し、チーム内で知識共有する「橋渡し役」としての役割も、チーム開発が主流のIT業界では非常に価値ある能力です。

論理的な考え方をする

エンジニアの仕事では論理的思考力が基本的かつ重要なスキルです。プログラミングやシステム設計は本質的に論理的なプロセスであり、条件分岐や複雑な因果関係を整理する能力が求められます。

「女性は感覚的、男性は論理的」という固定観念は科学的根拠のない思い込みで、神経科学研究では論理的思考能力に性差はなく個人差の方が大きいことが示されています。

女性の論理的思考の特徴として、全体像を把握しながら細部にも注意を払う「全体最適化」の視点があります。また、問題に対して多角的アプローチを取ることが多く、複雑な技術的課題解決に役立ちます。

プログラミング学習でも、コード構造理解やアルゴリズムの流れを追跡する能力は効率的な学習と問題解決につながります。

学ぶことが好き

IT業界は技術進化が非常に速く、継続的に新しい知識やスキルを習得し続ける意欲と能力が不可欠です。女性は生涯学習に対して積極的な姿勢を持ち、新しい概念を学びスキルを向上させることに喜びを見出す傾向があります。

また、学習プロセスにおいて「理解すること」を重視し、背景にある原理原則を理解しようとする姿勢は、複雑なプログラミング概念やシステム設計学習の強みとなります。

さらに、女性は協調的な学習環境で力を発揮することが多く、学習コミュニティへの参加勉強会での交流を通じて知識を深められます。

多くの女性エンジニアは「わからない」「できない」という状況をチャレンジと捉え、解決策を見つけるまで粘り強く取り組む傾向があります。

コミュニケーション能力がある

エンジニア職は「孤独な仕事」というイメージがありますが、実際のIT現場では高いコミュニケーション能力が求められます。

近年はチーム開発や顧客との直接的なやり取りが増え、技術力と同等にコミュニケーション能力が重視されています。

女性は言語能力やコミュニケーション能力に優れているとされ、複雑な技術内容を非技術者にわかりやすく説明する場面で強みを発揮します。

クライアントのニーズをヒアリングし技術要件に翻訳する「要件定義」では極めて重要なスキルです。

また、チーム開発でメンバー間の円滑なコミュニケーションはプロジェクトの成否を左右します。

非言語コミュニケーションへの感度の高さも価値があり、プロジェクトリーダーなど上位ポジションではチームをまとめ、クライアントと良好な関係を築く能力が求められます。

6.女性エンジニアが少ない時代はもう終わる?変わりゆくIT業界

本記事では女性エンジニアの現状から増加要因、転職のポイント、適性まで幅広く解説しました。IT業界は急速に変化し、女性エンジニアを取り巻く環境も着実に改善されています。

リモートワークやフレックスタイム制の普及、育児支援制度の充実といったワークライフバランスを重視した働き方の広がりが、女性エンジニア増加を後押ししています。

さらに、多様性への意識の高まりにより企業の採用姿勢や職場環境も変化し、「理系出身者だけがなれる」という固定観念も崩れつつあります。

女性エンジニアの増加はロールモデルを生み出し、次世代へとつながる好循環を形成します。AIやIoTなど新技術分野の登場で需要は高まり、女性が能力を発揮できる機会はさらに拡大するでしょう。

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