日本IBM・Sun*・アイングループ・プログリット登壇!4社の女性エンジニアが語るキャリアのリアルの画像

日本IBM・Sun*・アイングループ・プログリット登壇!4社の女性エンジニアが語るキャリアのリアル

2025年5月29日、WeWork Hareza池袋にて『IBM・Sun*・アイングループ・プログリット登壇!有名企業で働く女性エンジニアのリアルを語り合う』と題したイベントが開催。

日本IBMの戸倉彩氏をモデレーターに迎え、異なるバックグラウンドを持つ3名の女性エンジニアが、これまでのキャリアと今後の展望について語り合った貴重な機会となりました。

本記事では、イベント内容の一部をレポートとしてまとめてご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 異業種からエンジニアへの転身経験とは?
  • キャリア成長のターニングポイントとは?
  • 女性エンジニアの現実と将来展望について

1.登壇者紹介

人物紹介レイアウト
モデレーター
戸倉 彩
日本アイ・ビー・エム株式会社 テクノロジー事業本部 カスタマーサクセス事業部 プログラムマネージャー
パブリッククラウドや開発ツールを軸に技術活動するテクニカルエバンジェリストや、スタートアップのCTOの経験を経て、2018年に日本アイ・ビー・エム株式会社に転職。現在はプログラムマネージャーを務める。またデータサイエンスの分野で女性が活躍できる環境づくりを目指し、Women in Data Science Ambassadorおよびコミュニティ支援活動を推進中。Forbes Japan「Women in Tech 30」2024受賞。
人物紹介レイアウト
登壇者
宮内 理沙
株式会社アインホールディングス 管理本部DX戦略部 デジタルコマース課 エンジニア
ファッション業界で販売職を経験した後、IT業界へ転身。複数の企業で自社プロダクトおよび受託開発に携わり、現在はアインホールディングスにてFrancfrancのEC開発チームのリーダーを務めている。要件定義・設計からフロントエンド/バックエンド開発、運用保守までを一貫して担当。
人物紹介レイアウト
登壇者
和泉 春香
株式会社Sun Asterisk Creative&Engineering Engineering Pros Senior Native-app/Front-end Engineer
大学卒業後、SIerにて基幹システムの新規開発PJにインフラエンジニアとして従事。その後、自社開発企業にてアプリエンジニアに転身し、バックエンド、フロントエンド、Android Nativeアプリのメイン実装・設計を担当。2021年にSun*に入社後は、Android iOS、Apple Watch向けのNativeアプリや、Unityを使ったノンゲームアプリおよび、Webフロントの設計、実装、要件定義、フィジビリティ調査など、開発のリードを担当。
人物紹介レイアウト
登壇者
石 汝珠(ソク ヨジュ)
株式会社プログリット プロダクト開発部 iOSエンジニア
大学卒業後、さまざまな経験を積みたいと考え、ヨーロッパツアーや日本でのワーキングホリデーを経験。大学では法学を専攻したが、就職は会計職としてキャリアをスタート。2020年にバックエンドエンジニアへ転向し、現在はiOSエンジニアとしてプログリットのアプリ開発に携わっている。

2.エンジニアになったきっかけは何?

本日はよろしくお願いします。

まずは、皆さんがエンジニアになったきっかけについて教えてください。

私は、以前はファッション業界で販売員をしていて、元々は転職は考えていませんでした。

そこからきっかけとなったのが、母と飼っているチワワが病気になって、寝たきりの時期があったことです。

なるべく在宅で世話をしていきたいのですが、販売職だと必ず店舗に行かないといけないですし、お休みもなかなか取れない状況でした。

そこから、自分のワークライフバランスを考えていったときに、「家でも仕事ができる、割と自由にお休みも取れる」といった部分で、エンジニアという仕事に興味を持ち、エンジニアへのキャリアの道を選びました。

私もキャリアチェンジ組でして、もともとは日本で会計の仕事をしていました。

ただ、コロナがきっかけで、韓国と日本が自由に行き来できない時期があり、悩んだ末に韓国への帰国を決めたんです。

そこで転職を考えなきゃいけなくなるのですが、これからのキャリアを見据えたときに、また日本でも働きたいという想いもあって、「今後、自由に活躍できるようになるには、手に職がついたスキルがないと難しい」と感じたんです。

「海外で自由に活躍している方って、どういう人だろう」と調べたときに、ちょうどYouTubeで“ノマドワーカー”という言葉が流行っていたんです。

それで、さきほど宮内さんが言っていた通りで、どこでも働けてワークライフバランスが取れるというベネフィットがエンジニアにはあって、目指すようになりました。

私は一応、新卒からエンジニア職だったのですが、気持ちとしてはキャリアチェンジ組にかなり近いなと思っています。

というのも、最初の会社がSIerで、パッケージコンサル兼エンジニアもできるみたいな感じだったのですが、実際の仕事はというと、「EXCELとずっとにらめっこ」で、プログラミングをする機会が全然なかったんです。

「なんで自分はこんなことやってるんだ」という悶々とした想いが募っていって、そこであらためて「自分は何がしたいんだろう」と考えるようになったんです。

そこから色々と勉強し直して、エンジニアといっても分野がすごく広いと思うのですが、その中で「自分がやりたかったのは、プログラミングで物作りだったんだ」ということに気づいて、それが実現できる会社に転職したという経緯になります。

みなさん、ありがとうございます。

ちなみに、私自身は小学生のときに手にしたゲームをやったことがきっかけでした。どういうことかと言うと、そのゲームの音と色が気に入らなかったんですね。

「これ、変えることってできないの?」と、周りの大人に聞いていったら、「プログラミングをやれば変えられるよ」と言われたんです。

「そんな必殺技があるんだ」と、そこからプログラミングを学びはじめるようになり、そのまま大人になった、という感じです。

3.転機となったターニングポイントは?

では続いて、エンジニアのキャリアにおける、ターニングポイントがあればお話しいただければと思います。

私がもともとエンジニアとして1社目に入社した会社は、青森にオフィスのある受託開発企業でした。ただ、入社してしばらくしてから、開発案件が少なくなっていったんです。

なので、日々会社に出社しても業務がなくて、エンジニアとしての経験・スキルが積めない環境でした。そこから、「このままではいけない」と思い立ち、スタートアップ企業に転職をしたんです

なぜスタートアップに転職したのかというと、「忙しそうで仕事もたくさんあって、優秀なエンジニアが多く在籍していそう」という、当時の先入観というか勝手なイメージがあったんです(笑)。

でも、そこが私の人生のターニングポイントになりました。

本当に、自分が想像していた以上に優秀なエンジニアの方々がいらっしゃって、エンジニアスキルだけでなく、ビジネスパーソンとしてのソフトスキルもとても素晴らしく、本当にたくさんの方から刺激を受けました。

その中で、ただ圧倒されるだけでなく、自分の負けず嫌いなところが出て、スキルアップのために切磋琢磨できた時期でした。

私はターニングポイントが大きく2つあると思っています。

1つ目が、エンジニアの中でもサーバーサイドからiOSにポジションチェンジし、新しいチャレンジをしたことです。2つ目が、韓国から再び日本に来て、日本企業で働く選択をしたことです。

まったく新しい分野への挑戦や日本で働くという環境の変化は、開発言語が変わったり、日本ならではのカルチャーに適応したりと大変な部分もありましたが、それが自身の成長機会となり、大きな達成感や自信につながったんです。

今考えても、この2つの選択は間違えてなかったなと、強く実感しています。

私のターニングポイントはいくつかあるのですが、1番大きかったのはやはり新卒入社した会社から、しっかりとプログラミングの経験が積める会社に転職したことです。

また、転職後は「最初はWebアプリだけやろう」と思っていたのですが、そこから「モバイル分野にも挑戦したい」となり、社内副業の募集があったので、そこで手を挙げてモバイルエンジニアとしてのキャリアも積むことができました。

まったくの未経験の分野だったのですが、未経験でも「意外とがんばればなんとかなるんだな」というのが身をもって体験でき、それもすごく良かったなと思っています。

4.キャリアを振り返って、やって良かったこと、やっておけば良かったことは?

自分のキャリアを振り返ったとき、「やっておいて良かったな」と感じたこと、そして「やっておけば良かったな」と思うことについて、伺えればと思います。

ここは和泉さんにお話いただければと思います。

やって良かったことは、最初のキャリアで何か違和感を持った時に、「自分のやりたいことって何だっけ?」と、ちゃんと立ち止まって、しっかりと見つめ直したことですね。

それって就活でいくと、いわゆる業界研究・自己理解みたいな、口酸っぱく言われることだと思うのですが、私はそれを就活の時によく分かってなくて軽視していたんです。

その結果として、大きなミスマッチが起こってしまったと感じています。

もし、この場の方でも心当たりのある方がいたら、一回立ち止まって自己分析をすることが重要だとあらためて思います。

「自分は何がしたいのか」「それはどこで実現できるのか」。その想いを言語化することに、時間を惜しまずに使ってほしいですね。

「自分は何がしたいのか」という自己理解をしていくと、それがぶれない軸になっていくと思います。ただ、その軸がないままでスキルを身につけていくと、どこかでミスマッチが起こってしまうので、すごく大事な要素だと思います。

やっておけば良かったことは、大規模なシステムの運用経験ですね。

シニアエンジニアのレイヤーになってくると、私の現在のポジションでは、大規模システムに関われる機会があまりないんです。

ジュニアのときに、大規模なシステム運用のプロジェクトに入ったときがあったのですが、そこまで本格的にのめり込んでやらなかったんです。

でも今振り返れば、本当にジュニアのときにしかできない貴重なチャンスだったので、そういう時にもっとガッツリとやっておけば良かったなと感じています。

5.女性エンジニアならではの苦労はあるか?

今回は女性エンジニアがテーマですが、私たち特有の苦労について、みなさんは経験されたことがありますか?

私は「女性エンジニア」という括りでは、正直なところ特になかった、というのが結論になります。

とは言うものの、女性として社会人で働いている中で、自分のキャリアを他の方に話したときに、「女性ってどうせ結婚するでしょう。子供もできるでしょう。そんなの無理だよ」と言ってくる人は、何人かいました。

けれど、そういう人たちの話はもう無視です。完全に無視してました。なので、個人的には「女性エンジニアとして困ったことはありません」という回答になります。

私が今勤めているプログリットという会社は、実は女性の割合が約7割で、女性が働きやすい環境です。ただし、エンジニア組織だけで見ると、現状では女性は私のみになっています。

ただ、そこで苦労をするところがあるかというと、私もありません。ただ女性として働く苦労は、結婚してから少し感じてます。

「結婚したら仕事を辞めたほうがいいの?産休・育休になったらどうするの?」と考えることもありますが、両立して活躍されている素敵な女性の方がたくさんいらっしゃるので、先輩方に相談しながら働けば、なんとかなると思っています。

ですので、「エンジニアとして」の悩みではなく、「女性としてどうやって働くべきか」という悩みがややある、といったところでしょうか。

私もあまり思い浮かばなかったのですが、強いて言うなら「ロールモデルが見つけにくい」ということは感じます。

過去には良くも悪くも「女性だから」と、特別扱いされることはあってもやもやすることもあったのですが、今はそう思うこともなくなりました。

というのも、過去には「得意・不得意、好き嫌いには生物学的な違いがある」みたいなことを、当たり前のように思い込んでいた時があったのですが、徐々に考えが変わっていって「全然そんなことないな」って考えを改めるようになりました。

ですので、

「本当はエンジニアリングの意欲・適性があるけど、勝手なマイナスの思い込みで選択肢からそもそも除いてしまっている」

「女性的な脳の違いとかで、エンジニアリングに限界があるんじゃないか」

みたいに考えてる人がいたら、すごいもったいないことだと思うので、性別は気にしないで挑戦してほしいですね。

6.これからのキャリアについて考えていること

それでは最後に、これからのキャリアについてどう考えているか教えてください。

私は今年でエンジニア6年生になるのですが、エンジニアの目指すキャリアについて、「マネジメントかスペシャリストか」という、大きくこの2つに分けて話されることが良くあると思います。

そこにあてはめると、前職でリーダーだった頃は技術的業務3割、マネジメント業務7割という割合でした。現職でも少しずつ開発以外の業務が増えてきています。

これまでも開発・マネジメントの両方に適度に関わる環境に身を置いてきましたが、将来のキャリアの方向性についてはまだ模索中というのが正直なところです。

ですので、これからも新しいことに挑戦しながら、自分の将来のキャリア幅を広げていって、選択肢を増やしていけるように活躍していけたらと思っているところです。

私は、キャリアチェンジが多くて、今のiOSエンジニアとしては1年半ぐらい経ってる状態ですが、コードを書いて実装しながらリリースするところに、やりがいや楽しさを感じていました。

ただ、そこから最近ではやや考えに変化がありまして、というのも、複数のメンバーを私がリードしながらコミュニケーションを取ることが増えたんです。

今まではリードされる立場だったのですが、私がリードをする立場に変わってきています。

私がもともと考えていた将来は、スペシャリストに近かったのですが、直近で色々な経験をさせてもらい「このチームをよりうまく動かしたい、一緒に働いてる方の負担を減らしてあげたい」という想いが強くなってきています。

そのため、今はテックリーダーとしてメンバーをリードする方向に成長していきたいと考えております。

私も特定の役職やポジションでキャリアを歩んでいこうとは決めていません。今は、自分にしかできない価値の発揮と、会社員でしかできないことはなにか、という軸で考えています。

今はAIがどんどん発達していますが、それについて他のチームやクライアントと議論しながら、「これからの開発現場のあり方がどう変わっていくか」といった部分を整理していくところが楽しいですし、今まで自分がやってきた経験が発揮できていると感じているので、直近はそこに注力していきたいと思ってます。

その中で、「AIじゃなくて人間にしかできないことは何か」「人間の中でも自分にしかできないことって何だろう」ということを考えながら、自分の価値を発揮できる役割と環境を選んでいきたいですね。

みなさん、ありがとうございます。

私は、これからのキャリアは多くの仲間と一緒に世の中をテクノロジーの力で変えていくっていうところに挑戦していきたいと考えています。

AIもそうですし、IT業界は常に新しいものが出てくるので、常に最新の情報をキャッチアップしながら、その実現に向けて動いていきたいと思います。

7.おわりに|今日の学びを次のステップへ

このトークセッションを通じて、現役エンジニアの方にはキャリアを継続し発展させていくためのヒントを、そしてこれから女性エンジニアという道を選択しようと迷われている方には、エンジニアという職業の魅力やリアルを感じていただけたのではないでしょうか。

3名の登壇者が語った経験談は、技術面だけでなく自己理解の重要性や、環境の変化を成長の機会として捉える前向きさ、そして性別に関係なく自分らしいキャリアを築いていける可能性について触れていました。

本記事を参考に、それぞれのキャリアにおいて新たな一歩を踏み出せる機会となれば幸いです。

あなたに合った
求人を見つけよう!

転職・求人情報はもちろん、
転職のノウハウなどお役立ちコンテンツで、
あなたの転職活動をサポートします。