「このままでいいのかな…」「将来どんなエンジニアになりたいんだろう…」 IT業界で活躍する女性エンジニアの中には、日々の業務に追われながらも、ふと将来のキャリアについて不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
特に女性は、結婚や出産、育児といったライフイベントによって働き方が大きく変化する可能性があります。だからこそ、キャリアを築くためには、長期的な視点でキャリアプランを設計することがとても大切です。
この記事では、女性エンジニアが自分らしいキャリアプランを描くためのヒントを、具体的なモデルケースやアクションプランとともにご紹介します。
- 年代ごとのキャリアプランの立て方
- 自分に合ったキャリアパスの選択肢
- 理想のキャリアを実現するための具体的な行動
1.なぜ今、女性エンジニアにキャリアプランが必要なの?

近年、IT業界では女性エンジニアの活躍が目覚ましく、その需要はますます高まっています。
経済産業省の調査によると、IT人材の需要は2030年に最大で約79万人不足すると予測されており、女性エンジニアの活躍への期待は大きいと言えるでしょう。
しかし、その一方で、女性エンジニアならではの悩みや課題も存在します。ここでは、なぜ今、女性エンジニアにキャリアプランが必要なのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
IT業界の現状と女性エンジニアの将来性
IT業界は実力主義の世界であり、スキルや実績が評価に繋がりやすい環境です。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、「情報通信業」は他の多くの産業と比較して男女間の賃金格差が小さい傾向にあります。
高い専門性を身につけることで、性別による影響を受けにくく、長期的に安定したキャリアを築ける可能性が高い専門職といえるでしょう。
また、技術の進歩が著しい業界だからこそ、常に新しい知識やスキルを学び続ける意欲があれば、年齢に関係なく活躍の場を広げることができます。
身につけた技術や経験は、これからの社会でますます価値のあるものになっていくでしょう。
ライフイベントとキャリアの両立の難しさ
多くの女性にとって、結婚や出産、育児といったライフイベントはキャリアを考える上で大きな転機となります。
産休・育休制度が整っている企業は増えてきましたが、復帰後の働き方やキャリアの継続に不安を感じる方は少なくありません。
「時短勤務で周りに迷惑をかけていないか」「技術のキャッチアップが追いつかない」といった悩みを抱え、キャリアを諦めてしまうケースも。
だからこそ、ライフイベントを見据え、柔軟な働き方ができるようなキャリアプランを事前に描いておくことが、仕事と家庭を両立させるための鍵となります。
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キャリアプランを描くことの重要性
キャリアプランとは、いわば「仕事人生の地図」。現在地と目的地を明確にすることで、今何をすべきか、どんなスキルを身につけるべきかが見えてきます。
特に変化の激しいIT業界においては、行き当たりばったりでキャリアを歩むのではなく、自分なりの指針を持つことが大切です。
キャリアプランを立てることで、日々の仕事に対するモチベーションが向上するだけでなく、予期せぬライフイベントが訪れた際にも、冷静にキャリアの軌道修正を行うことができます。
2.【年代別】女性エンジニアのキャリアプラン

キャリアプランは一人ひとり違って当然です。ここでは、年代別のキャリアプランのモデルケースをご紹介します。
今の状況と照らし合わせながら、今後のキャリアを考える参考にしてみてください。
20代|まずは専門性を高めよう!
20代は、エンジニアとしての土台を築く大切な時期。まずは、目の前の仕事に全力で取り組み、プログラミングスキルや開発経験を積むことに集中しましょう。
様々なプロジェクトに積極的に参加し、自分の得意な技術領域を見つけることが、将来のキャリアの選択肢を広げることに繋がります。
また、若いうちに資格取得に挑戦したり、勉強会に参加したりと、自己投資を惜しまない姿勢も大切です。

20代で得た知識と経験が、キャリアの大きな財産となるでしょう。
30代|ライフイベントを見据えたキャリアチェンジも視野に
30代は、仕事とプライベートの両方で大きな変化が訪れる時期。
結婚や出産といったライフイベントを経験する方も多いでしょう。この時期は、これまでの経験を活かしつつ、将来の働き方を見据えたキャリアプランを考えることが重要です。
例えば、技術を極めるスペシャリストの道だけでなく、マネジメント職へのキャリアチェンジや、ワークライフバランスを重視してフリーランスとして独立するなど、選択肢はさまざまです。

自分の価値観やライフプランと向き合い、柔軟にキャリアを考える時期です。
40代以降|マネジメントやスペシャリストとして、さらなる高みへ
40代以降は、これまでに培った豊富な経験とスキルを活かして、チームや組織に貢献することが期待される時期。
プロジェクトマネージャーや管理職としてチームを牽引する、あるいは特定の技術領域の第一人者として後進の育成に携わるなど、リーダーシップや専門性が輝くステージです。
また、これまでの経験を活かして、ITコンサルタントとして企業の課題解決に貢献するという道も選択できます。

年齢を重ねるごとに、自身の市場価値はさらに高まっていくでしょう。
3.あなたに合うのは?女性エンジニアキャリアパスの選択肢
常にスキルを磨き続けたいという探究心旺盛な方
技術を追求するスペシャリスト
チームで大きな目標を達成することにやりがいを感じる方
チームを導くマネジメント
幅広い知識や経験を身につけたい方
専門知識を活かすITコンサルタント
自由な働き方を実現したい方
自由な働き方を実現するフリーランス
女性エンジニアのキャリアパスは多岐にわたります。ここでは、代表的な4つのキャリアパスをご紹介します。
それぞれの特徴を理解し、理想の働き方に近いものを見つけてみましょう。
技術を追求するスペシャリスト
特定の技術領域を深く追求し、その道の第一人者を目指すのがスペシャリストです。
最先端の技術に触れながら、常にスキルを磨き続けたいという探究心旺盛な方に向いています。高い専門性を武器に、プロジェクトに不可欠な存在として活躍することができます。
企業によっては、専門職制度を設けている場合もあり、管理職にならなくても高い処遇を得ることが可能です。
実際に働くとしたらどんなことをしますか?
スペシャリストの仕事は、その深い技術力で、事業やチームの難しい課題を解決することです。
例えば、新しいサービスの根幹となるシステムの設計や、非常に複雑な機能の開発など、事業の成功を左右する重要な部分を任されます。
また、他のメンバーでは解決できない原因不明のバグが発生した際に、その原因を突き止めて解決に導く「技術的な最後の砦」のような役割も担います。
さらに、常に最新の技術動向を追いかけ、チームの開発効率やサービスの品質を向上させる新しいツールや手法を調査・導入することも、重要な仕事の一つです。
チームを導くマネジメント
プロジェクトマネージャーやチームリーダーとして、プロジェクト全体を管理し、チームを成功に導くのがマネジメント職です。
技術的な知識はもちろん、コミュニケーション能力やリーダーシップが求められます。メンバーの成長をサポートしたり、チームで大きな目標を達成することにやりがいを感じる方に向いています。
将来的には、CTO(最高技術責任者)やVPoE(技術部門の責任者)といった経営層へのキャリアパスも開かれています。
実際に働くとしたらどんなことをしますか?
マネジメント職の仕事は、チームの成果を最大化するために環境を整えることです。
具体的には、プロジェクトの目標達成に向けた計画を立て、タスクを各メンバーに割り振ります。
日々の進捗を確認するための朝会や、メンバーの悩みや成長をサポートするための1対1の面談(1on1ミーティング)も重要な仕事です。
また、プロジェクトが円滑に進むように、他の部署や顧客との調整役も担います。
技術的な問題だけでなく、「人」や「組織」に関わる課題を解決し、チームを成功に導くオーケストラの指揮者のような役割です。
専門知識を活かすITコンサルタント
エンジニアとしての経験や専門知識を活かして、企業の経営課題をITの力で解決するのがITコンサルタントです。
クライアントの課題をヒアリングし、最適なシステムやソリューションを提案します。技術力だけでなく、課題発見能力や提案力、コミュニケーション能力が求められる仕事です。
様々な業界の課題に触れることができるため、幅広い知識や経験を身につけたい方におすすめです。
実際に働くとしたらどんなことをしますか?
ITコンサルタントの仕事は、まず顧客の「困りごと」を深く理解することから始まります。「売上を伸ばしたい」「業務の無駄をなくしたい」といった経営課題を丁寧にヒアリングし、その原因を分析します。
次に、その課題を解決するための最適なIT戦略を考え、具体的なシステム導入や業務プロセスの改善策を企画書や提案書にまとめてプレゼンテーションします。
プロジェクトが始まれば、エンジニアと顧客の間に立ち、計画通りにシステムが導入されるよう支援する役割も担います。企業のドクターとして、ITの力で経営の課題を解決に導く仕事です。
自由な働き方を実現するフリーランス
企業に属さず、個人としてプロジェクト単位で仕事を受注するのがフリーランスです。
働く時間や場所を自分でコントロールできるため、育児や介護と両立しやすいというメリットがあります。一方で、収入が不安定になりがちで、営業活動や事務作業も自分で行う必要があります。
高い自己管理能力と専門性が求められますが、自由な働き方を実現したい方にとっては魅力的な選択肢です。
実際に働くとしたらどんなことをしますか?
フリーランスのエンジニアは、開発業務そのものに加えて、会社員時代にはなかったさまざまな業務を自分で行う必要があります。
まず、エージェントサービスに登録したり、人脈を活用したりして、自分で仕事を探す「営業活動」から始まります。
受注が決まれば、クライアントと直接打ち合わせを行い、どのようなシステムを作るか要件を固め、見積もりや契約を交わします。
開発中は、一人で黙々と作業するだけでなく、定期的にクライアントに進捗を報告し、フィードバックをもらいながら進めていきます。
そして、プロジェクトが完了すれば、請求書を発行して入金を確認するところまでが仕事です。
自由な反面、すべてを自分自身で管理する経営者のような視点が求められます。
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女性エンジニアのキャリア選択について、実際の転職事例や企業選びのポイントを知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
4.キャリアプランを実現するための具体的なアクション
キャリアプランを実現するための具体的なアクション
自己分析
強みや本当にやりたいことを見つけ、キャリアの軸を明確にする。
スキルアップ
将来を見据えたスキルを習得し、継続的に市場価値を高める。
理想のキャリアプランを描けたら、次はいよいよ行動に移す番です。ここでは、キャリアプランを実現するための具体的なアクションをご紹介します。
自己分析で自分の強みとやりたいことを見つける
まずは、これまでの経験を振り返り、自分の強みや得意なこと、そして「本当にやりたいこと」を明確にしましょう。
「どんな時に仕事が楽しいと感じるか」「どんなスキルを活かして貢献したいか」などを自問自答することで、自分の価値観やキャリアの軸が見えてきます。
自己分析は、キャリアプランを立てる上での羅針盤となります。
ロールモデルを見つけてキャリアの参考にしよう
社内や社外で、理想とする働き方やキャリアを歩んでいる女性エンジニアを探してみましょう。ロールモデルを見つけることで、具体的なキャリアの道筋をイメージしやすくなります。
もし身近にロールモデルがいない場合は、SNSやイベントなどを活用して、社外のエンジニアと交流するのもおすすめです。様々なキャリアパスを知ることで、あなたの可能性はさらに広がります。
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スキルアップで市場価値を高める
キャリアプランを実現するためには、継続的なスキルアップが不可欠です。
現在の業務で必要とされるスキルはもちろん、将来のキャリアを見据えたスキルの習得にも積極的に取り組みましょう。
プログラミング言語やフレームワークの学習、資格取得、マネジメントスキルの向上など、目標に合わせて計画的に学習を進めることが大切です。
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5.ワークライフバランスを大切に!働きやすい環境の選び方

長期的にキャリアを継続するためには、ワークライフバランスを保てる働きやすい環境を選ぶことが重要です。
ここでは、企業選びの際にチェックしたいポイントをご紹介します。
フレックスタイムやリモートワークなどの柔軟な働き方
フレックスタイム制度やリモートワーク制度が導入されている企業は、個人の裁量で働き方を調整しやすいため、育児や介護との両立がしやすい傾向にあります。
制度の有無だけでなく、実際に制度がどの程度活用されているかを確認することも大切です。
産休・育休制度や時短勤務制度の活用
産休・育休制度はもちろん、復帰後の時短勤務制度が整っているかも重要なポイントです。
制度の取得実績や復職率、復帰後のキャリアパスなどを確認することで、その企業の女性活躍への本気度を知ることができます。
女性エンジニアが活躍している企業の見つけ方
企業を選ぶ際には、業界全体の動向を把握することも一つの視点となります。厚生労働省の調査によると、2023年時点で情報通信業における女性管理職の割合は平均11.8%でした。
これは産業全体の平均(12.7%)と比べると、女性の活躍推進にはまだ伸びしろがある状況を示しています。
こうした背景を理解した上で、個々の企業が公開している女性管理職の比率や、女性エンジニアの活躍事例(インタビュー記事など)に注目することが、自分に合った働きやすい環境を見つけるための重要な手がかりとなります。
企業のウェブサイトや採用ページで、女性エンジニアのインタビュー記事などをチェックしてみましょう。また、転職エージェントなどを活用して、企業の内部情報を収集するのも有効です。
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6.女性エンジニアのキャリアプランに関するよくある質問

ここでは、女性エンジニアのキャリアプランに関するよくある質問にお答えします。
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結婚や出産後もエンジニアを続けられますか?
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はい、もちろん続けられます。
近年、多くのIT企業が女性の活躍を推進しており、産休・育休制度や時短勤務制度、リモートワークなど、子育てと両立しやすい環境が整ってきています。
大切なのは、ライフイベントを見据えて早めにキャリアプランを考え、自分に合った働き方ができる企業を選ぶことです。
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未経験からでもエンジニアになれますか?
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はい、可能です。
IT業界は人材不足が続いており、未経験者を採用して育成する企業も増えています。プログラミングスクールやオンライン学習サービスなどを活用してスキルを身につけ、転職に挑戦する女性は年々増加しています。
未経験からの転職は年齢が若いほど有利な傾向にあるため、興味がある方は早めに行動を起こすことをおすすめします。
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未経験からエンジニアを目指す女性のために、具体的な学習ステップや転職成功のポイントを詳しく解説しています。最初の一歩を踏み出したい方はぜひご覧ください。
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年収アップを目指すにはどうすればいいですか?
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年収アップを目指すには、専門性を高めて市場価値を上げることが重要です。
需要の高い技術を習得したり、マネジメントスキルを身につけたりすることで、より高い報酬を得られる可能性が高まります。
また、現職での昇給が難しい場合は、より良い条件の企業へ転職するのも有効な手段です。
自分のスキルや経験が、市場でどの程度評価されるのかを客観的に把握することも大切です。
7.自分らしいキャリアプランで、未来を切り拓く
今回は、女性エンジニアのキャリアプランについて、様々な角度からご紹介しました。
大切なのは、誰かの真似をするのではなく、自身の価値観やライフプランに合った「自分だけのキャリアプラン」を描くことです。
キャリアプランは一度立てたら終わりではありません。定期的に見直し、必要に応じて軌道修正しながら、柔軟にキャリアを築いていきましょう。
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