女性SEの子育て両立術｜働き方と転職成功のコツ

「SEとしてキャリアを積んできたけど、出産後も同じように働けるのかな…」「子育てとSEの仕事、両立なんて無理かも…」そんな不安を抱えている方もいるかもしれません。

IT業界は変化が激しく、責任も重い仕事なだけに、育児との両立にハードルを感じてしまうのは当然のことです。

特に、周りに子育て中の女性SEが少ないと、ロールモデルが見つからず余計に不安になることもあるでしょう。

ですが、結論から言うと、SE（システムエンジニア）の仕事と子育ての両立は可能です。多くの先輩女性エンジニアが、様々な工夫と制度を活用しながら、キャリアと家庭を両立させています。

この記事では、SEとして働く女性が子育てと仕事を両立させるための具体的なヒントや、不安を解消する方法、そして自分に合った働きやすい環境の見つけ方について解説します。

1．増加する女性SEと「子育て両立」のリアルな実態

まず、データで現状を見てみましょう。

ヒューマンリソシア株式会社による2025年調査によると、ITエンジニアに占める女性の比率は18.8%というデータがあり、業界内ではまだ少数派かもしれませんが、確実に増えています。

そして、レバテック株式会社による2024年調査によると、働く女性エンジニアの7割以上が「家庭と仕事を両立し、働き続けたい」と回答しており、関心の高さがうかがえます。

社会全体で見ても、女性の働き方は大きく変化しています。

かつて言われた、出産・育児期に女性の労働力率が低下する「M字カーブ」は、近年解消に向かっており、出産後もキャリアを継続する女性が一般的になりました。

厚生労働省の最新調査（令和6年度雇用均等基本調査）では、女性の育児休業取得率は86.6%と高い水準で推移しており、社会全体で「産んでも働く」環境が整いつつあることがわかります。

参考：ヒューマンリソシア株式会社｜データで見る世界のITエンジニアレポートvol.16・レバテック｜女性エンジニアの転職意識調査・厚生労働省｜令和6年度雇用均等基本調査

2．なぜ女性SEは子育てと両立しやすい？3つの大きな理由

不安な気持ちがある一方で、SE（エンジニア）という職業は、実は子育てと両立しやすい強みをたくさん持っています。

なぜ「女性こそエンジニアがおすすめ」と言われるのか、その理由を3つご紹介します。

1. 柔軟な働き方の選択肢が多い

IT業界は、他の業界に比べてリモートワーク（在宅勤務）やフレックスタイム制度が最も浸透している業界の一つです。

通勤時間がなくなるだけで、朝の準備や保育園のお迎えに格段に余裕が生まれます。

また、働く時間を柔軟に調整できるフレックス制度は、子供の急な発熱や通院など、予測不能な子育て中の「あるある」に対応しやすい大きな味方です。

2. 「スキル」が評価される専門職である

SEは高度な専門職です。性別や年齢、勤務形態ではなく、持っている技術力や経験（スキル）が正当に評価されやすい特徴があります。

子育てのために一時的に時短勤務を選んだとしても、スキルさえあればキャリアが停滞するとは限りません。むしろ、スキルを武器に自分の価値を証明しやすい職業と言えます。

3. ライフイベント後も「復職」しやすい

IT業界は慢性的な人手不足が続いており、高いスキルを持つエンジニアの需要は常にあります。

そのため、出産や育児で一時的にキャリアを離れたとしても、スキルベースで復職・転職しやすいのが最大の強みです。

ブランクを恐れすぎず、自分のペースでキャリアを再開できる可能性が高いのは、大きな安心材料になります。

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3．イメージが湧く！子育て中の女性SEの1日のタイムスケジュール例

「両立しやすいのはわかったけど、実際みんなどんな生活をしているの？」と気になりますよね。

もちろん家庭環境や会社の制度によってさまざまですが、ここでは在宅勤務と時短制度を活用するママSEの「とある1日」の例をご紹介します。

いかがでしょうか。

かなり慌ただしいですが、在宅勤務で通勤時間を削減し、時短勤務で「お迎え」の時間を確保することで、なんとか両立している様子がイメージできたかもしれません。

大切なのは、これを一人で完璧にこなそうとしないことです。

パートナーとの徹底したタスク分担や、後述するサポートの活用があってこそ、このスケジュールが成り立っています。

4．女性SEの子育て両立負担を賢く減らす！今すぐできる3つの工夫

SEの仕事と子育てを両立させるには、気力や体力だけで乗り切ろうとせず、「仕組み」で解決することがとても重要です。

ここでは、多くの先輩ママSEが実践している「負担を減らす工夫」を3つご紹介します。

1. 「時短家電」に頼る

「食洗機」「乾燥機付き洗濯機」「ロボット掃除機」は、子育てエンジニアの三種の神器とも言われます。

SEのみなさんは、テクノロジーが人の生活をいかに豊かにするかを一番よくご存じでしょう。

家事の自動化は「手抜き」ではなく、家族との時間や自分の休息時間を生み出すための「賢い投資」です。

2. 「アウトソース」をためらわない

家事代行サービス、ネットスーパーや食材宅配、ベビーシッターなど、外部の手を借りることをためらわないでください。

特にSEは繁忙期になると、どうしても残業が必要になる場面もあります。そんな時に「いざとなったら頼れる先がある」という安心感は、精神的な余裕に直結します。

「女性エンジニアあるある」で語られがちな「真面目で責任感が強く、一人で抱え込んでしまう」罠に陥らないよう、意識して「頼る」選択肢を持ちましょう。

3. パートナーと「チーム育児」を徹底する

子育ては「手伝う」ものではなく、「一緒にする」ものです。どちらか一方に負担が偏ると、必ず限界が来ます。

家事や育児のタスクをすべて書き出し、お互いの得意・不得意や業務の繁閑に合わせて、対等な「チーム」として分担体制を築くことが、両立の最大の鍵となります。

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5．子育て中の女性SEでもキャリアを諦めない！スキルアップ戦略

子育て中は、どうしても「スキルが低下するのでは」「キャリアが停滞してしまうのでは」という不安がつきまといます。

確かに、以前のようにフルタイムで働いたり、夜遅くまで勉強したりするのは難しくなります。

しかし、育児中だからこそキャリアを諦める必要は全くありません。大切なのは「どう時間を作るか」です。

スキマ時間を活用した「細く長く」の学習

例えば、子供が寝た後の30分、あるいは通勤時間（もしあれば)の15分だけでも、技術系のニュースサイトをチェックする、オンライン学習で新しい言語の基礎に触れるなど、インプットを「ゼロ」にしないことが重要です。

また、育児は「時間管理能力」や「マルチタスク能力」「優先順位付け」のスキルが劇的に向上する時期でもあります。

これらはSEのプロジェクト管理にも直結する、立派な「ポータブルスキル」です。

国の支援制度も上手に活用しましょう

育児休業中や復職後も、キャリアアップを目指す女性を支援する制度があります。

こども家庭庁が発表した「令和6年版こども白書」をはじめ、政府全体で仕事と子育ての両立支援が強力に推進されています。

例えば、厚生労働省の「教育訓練給付制度」は、特定の講座やスクール費用の一部が補助される制度です。

こうした公的なサポートを情報収集し、上手に活用するのも、賢いキャリア戦略の一つです。

参考：こども家庭庁｜令和6年版こども白書・厚生労働省｜教育訓練給付制度

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ライフステージに合わせた学習戦略やAI・クラウド技術の習得法、国の支援制度を活用したスキルアップ方法について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

6．子育て中の女性SE転職で「つまずきやすい」4つのポイント

両立を実現するためには、個人の努力だけでなく「環境選び」が半分以上を占めると言っても過言ではありません。

「今の職場では、育児との両立は難しいかもしれない…」と感じたら、それは転職を考えるサインかもしれません。

最近は入社時から時短制度やリモートワークを選べる企業も増えていますが、時間に制約のあるワーキングマザーの転職には、気を付けなければいけない”落とし穴”がいくつかあります。

未経験の仕事に応募してしまう

「とにかく今の環境を変えたい！」という思いが先走り、いきなり異なる業種や未経験の技術領域に応募してしまうのは注意が必要です。

時短勤務やリモートを希望する場合、企業側は「限られた時間内で成果を出せるか」をシビアに見ています。

ポテンシャル採用が期待できる20代前半とは違い、キャリアのあるエンジニアには「これまでの経験を活かして、入社後も成果を再現できるか」が求められます。

時間に制約がある場合はなおさら、即戦力として活躍できることが重視されるため、未経験領域への転職はハードルが高くなりがちです。

働き方のルールや「利用実績」を確認しない

これが最大のつまずきポイントかもしれません。求人票に「時短制度あり」「リモートワーク可」と書かれていても、安心はできません。

「制度はあるが、実際には利用している社員がほとんどいない」「利用すると評価が下げられてしまう」といったケースは残念ながら存在します。

また、会社全体ではOKでも、配属される部署やプロジェクト単位では「週3日まで」などの独自ルールがある場合もあります。

面接の場では、「育休からの復職率」や「時短勤務で活躍している社員の具体的な人数や役割」など、制度の「利用実績」を遠慮なく質問しましょう。

特に「男性社員の育休取得実績」は重要な指標です。

厚生労働省の最新調査では、男性の育休取得率は40.5%（令和6年度雇用均等基本調査）まで上昇しました。

この全国平均と比べて、応募先企業の数値がどうかしっかり確認しましょう。

また、厚生労働省が子育てサポート企業を認定する「くるみんマーク」を取得しているかも、一つの客観的な指標になります。

参考：厚生労働省｜令和6年度雇用均等基本調査・くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて

働き方の制約を不利になると思い伝えない

「残業ができないと伝えたら、選考で不利になるかも…」と不安になり、選考が進んだ後や内定後に、初めて働き方の制約を伝えるケースがあります。

これはお互いにとって「ミスマッチ」を生む原因になるため、避けるべきです。企業側にとって「どのような働き方を希望するか」は、選考の重要な情報です。

隠すのではなく、「子供のお迎えで16時には退勤したい。ただし、在宅勤務やフレックスが利用できる場合はフルタイム勤務も可能です」など、選考のできるだけ早い段階で具体的に伝えましょう。

事前に希望がわかれば、企業側も「その条件ならこのチームで活躍できる」と、すり合わせがしやすくなります。

年収や雇用形態を安易に妥協してしまう

「今はとにかく両立優先だから、年収が下がっても仕方ない」「契約社員でもいい」と、働きやすさを重視するあまり、雇用形態や年収を安易に妥協してしまうのも危険な落とし穴です。

育児に最も手がかかる時期は、長いキャリアの中ではほんの数年です。

子どもが成長し、再びキャリアアップを目指したくなった時、一度下げてしまった年収や雇用形態を元に戻すのは、想像以上に難しいのが現実です。

転職するならば、「働くペースは少し調整するけれど、これまでの経験を活かしてキャリアダウンはしない」という視点が大切です。長期的なキャリアを見据えて、今の転職を考えましょう。

対策：子育て中の女性SEのロールモデルとなる先輩ママはいるか

これらの落とし穴を避けるためにも、社内に、自分と同じように子育てをしながら活躍している女性エンジニアがいるかどうかは、非常に重要です。

お手本となるロールモデルがいれば、両立の具体的なイメージが湧きやすいですし、困ったときに相談できる心強い存在にもなります。

もし社内にいなくても、転職エージェントなどを通じて、そうした女性が活躍している企業を紹介してもらうのも良い方法です。

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7．子育てと両立！女性SEの転職成功事例

「理想はわかるけど、本当にそんな働き方ができるの？」と不安に思うかもしれません。

そこで、実際に私たちBLOOM TECH Career for Women Mediaを通じて「育児とキャリアの両立」を実現した、先輩ママエンジニアのKさん（29歳）の事例をご紹介します。

KさんはPythonを使ったバックエンドエンジニアとして活躍していましたが、転職前は長時間労働が常態化している職場環境にいました。

出産後の復帰を考えたとき、「この職場で育児と両立するのは難しい」「時短勤務で開発業務を続けられるイメージがわかない」という大きな不安を抱えていました。

そこで私たちは、Kさんの技術力を活かしつつ、育児との両立支援が手厚い大手メディア企業をご紹介しました。

転職後、Kさんは時短勤務とリモートワークを組み合わせた柔軟な働き方を実現しました。

育児としっかり両立しながら、開発チームのテックリードとして活躍されています。その結果、年収も480万円から530万円へとアップしました。

Kさんは「両立」だけでなく「キャリアアップ」も同時に叶えることができたのです。

参考｜BLOOM TECH Career for Women Media

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8．女性SEとして、母として、自分らしく輝くために

SEの仕事と子育ての両立は「無理」なことでは決してありません。

むしろ、リモートワークなどの柔軟な働き方ができ、スキルがあれば復職もしやすいSEという職業は、女性がライフイベントを経ても長く輝き続けられる「強い」キャリアです。

大切なのは、一人で全てを完璧にやろうとせず、家電やサービス、そして何よりパートナーを頼ること。そして、一番大切なのは、あなたが無理なく能力を発揮できる「環境」を選ぶことです。

子育てはキャリアの「ブランク」や「ハンデ」ではなく、時間管理能力や調整能力が格段に上がる「貴重な経験」です。

自信を持って、自分らしい両立の形のキャリアプランを見つけていきましょう。